【講義紹介】「文系・理系の壁を超える読書と対話で学びを広げ深める」~批判的思考力を養う~

 現在、情報社会の影響からか本を読む若者が減少している。スマートフォンやタブレットを通じて画面上では活字を読むが、本はめっきり読まなくなったという人も多い。




 その現状を受けて、大森不二雄教授(高度教養教育・学生支援機構)は基礎ゼミ「文系・理系の壁を超える読書と対話で学びを広げ深める」を開講した。事前に提示された本の範囲を読み、授業では全員で輪になって本の内容をクリティーク(批評)する。

 批評の方法はさまざまで、論旨の分析や著者の意見への異論だけでなく、関連トピックの提供や自分の経験と結びつけた発言も多い。議論においては文系・理系が他授業で習った知識やそれぞれの得意分野を生かし、互いに学び合う場面が多く見られる。対話の助けとして教授のコメントはあるが、基本的に学生の対話を重視して授業が進行される。

 講義では1セメスターで5冊の本を扱う。5冊の本の内容はさまざまだが、『「科学的思考」のレッスン』『量子革命』など理系の本が多い。理系が本離れをせず、文系も理系の内容だからといって拒否しないでほしいという大森教授の思いによるという。今まで読んだことがないジャンルの本だという学生が多く、皆新鮮な気持ちで授業に臨んでいる。

 ディスカッション型の本授業の狙いとして「批判的思考力」がある。客観的な立場に立って、物事を判断するための思考力だ。「批判的思考力を身につけるためには、普段の講義や参加した講演において、常に疑問を持つことが大切。実際に質問するのが最善である」と大森教授は語る。受け身で聞くのではなく、別の考えの可能性を念頭に置きながら聞き、考えや疑問を話したり書き出したりして言語化することで、思考が明確になる。これを習慣化することにより批判的思考力が身につき、自分で論理的な判断ができるようになっていく。

 ディスカッション型の本授業は批判的思考の出力の訓練になる。身についた批判的思考力は、学生生活だけでなく、卒業後の社会生活でも役立つだろう。

 ディスカッション型の授業は高校時代受けたことがない人もいるかもしれない。大学での学びはさまざまで、積極性がより求められる。基礎ゼミは今年度171の講義が開講されており、学生は自分の興味に沿って選ぶことができる。自分の持つ能力を知る意味でも、いろいろな形式の講義を調べ、受講してみるといいかもしれない。この記事が皆さんにとって大学での学びの多様性を知る助けとなればうれしい。皆さんが本学に合格し、入学してくれるのを切に願うばかりである。

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