【教員インタビュー】青木 優和 准教授 (農学研究科)

―どのような研究をしていますか

 海洋生物の生態学です。なかでも海藻に関わりがある海底の生物たちを研究しています。海藻は海の動物たちの隠れ家や餌場として重要な役割を担っています。研究では、海藻の生態を調べたり、海藻の上に住む小さな動物が生き残るための工夫を調べたり、海藻に影響を与える巻貝のような植食動物の挙動を調べたりしています。学生たちと海中で採集や野外実験を行うため、春夏秋冬毎月海に潜ります。本学に異動してきたのが東日本大震災直後ということもあって、震災後の海洋環境のモニタリング調査に従事してきました。

―どのような大学時代を過ごしましたか

 大学で生物サークルに入り、短期バイトをしながら時間を見つけては日本沿岸のいろいろな海に潜りました。はじめは魚を観察していましたが、それには飽き足らず、カニの採集を始めました。カニに関する書籍を読んで感銘を受けたので、著者である国立科学博物館の先生に手紙を出し、標本整理のアルバイトをさせてもらいました。世界中のカニの標本を見ることができ、研究の基本を学ぶ良い経験になりました。

―研究者になった経緯を

 幼いころから房総の海に慣れ親しみました。中学生のときに神奈川県の真鶴に潜りに行き、スノーケリングでのぞいた海中のあまりの美しさに衝撃を受け、これをきっかけに海の世界にはまりました。中学で熱心な生物の先生と出会い、生物学を志しました。

 入学した大学では自分がやりたかった海洋生物の研究ができなかったので、教授に紹介された他大学の臨海研究所で発光ホヤの研究をしました。その後、生態学に転じ、大学院では海藻の森に住むワレカラの生態について研究を行い、それで博士の学位を取って研究者の道に進みました。研究者を目指していたというより、やりたかったことをできる場所を探し求めているうちに、研究者になっていたという感じです。

―本学学生の印象は

 これまでにいろいろな大学と研究室に寄り道してきましたが、本学の学生は優秀です。華やかだとは思いませんが、素朴で堅実な学生が多く、そこがいいところだと思います。私は学生とチームで潜水調査を行うことが多いのですが、状況を見て動いてくれる上に考えが伝わりやすく、フィールドワークをやりやすいので助かります。ただ、留学生に比べると、日本人の学生は授業中静かです。興味のあることにはこだわりを持って食らいついてきてほしいと感じます。

―研究をしていてうれしいことはありますか

 誰も知らない事実を見つけることです。海は広大であるにも関わらず、海洋生態学に関する研究者は少ないです。そのため、潜って調べれば未知の発見がいくらでもあります。世界で誰も知らないことを見つけて、それを人に伝えることができるのは喜びであり研究の原動力です。

―高校生に一言お願いします

 学ぶことや研究することを楽しむために、大学に来てください。良い就職をするためのプロセスとして大学を目指す学生がいます。しかし、大学生活の中で何かきらりと光る自分だけの宝物のようなものをつかみ取ってほしいのです。タテヨコいろいろな人間関係も経験してほしいですね。

 それから、むやみな読書をしてほしいです。乱読は、自分の世界を簡単に広げることができる手段です。自分とは関係ないと思っていた分野の読書から意外なひらめきを得ることができます。大学に入ったら、たっぷり豊かな時間をぜひ読書にも使ってくださいね。

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