【教員インタビュー】志田原 美保 講師 (工学研究科)

 工学研究科量子エネルギー工学専攻の志田原美保講師は、放射線の医学応用について研究している。今回のインタビューでは、オープンキャンパスに来た皆さんのために、自身の研究について分かりやすく話してくれた。




―研究分野は

 医学と工学が融合した、いわゆる医工学分野です。その中で、放射線や放射性同位元素(放射線を出す原子)を用いた「核医学」と呼ばれる領域で工学的な視点で研究をしています。放射性薬剤(放射線を出す薬)を体内投与し体の機能を調べたり治療をしたりするのが核医学で、1980年代から臨床応用が始まり、現在多くの大規模病院や研究機関で実施されています。

―どのような研究か

 核医学では、放射性薬剤の体内濃度分布を画像として知ることができます。臨床では画像に含まれる臓器や解剖領域の信号値をもとに、病気の診断や治療方針の決定や予後予測をします。この信号値は重要ですが、検査中の体の動きや解像度などの理由からその信頼性が下がってしまいます。そこで信号値の精度を向上する技術開発をしています。

 また、放射性薬剤を新規開発するためのコンピューター支援によるスクリーニング技術の開発をしています。特に、候補薬剤を仮に人間に投与したら、体内でどのような分布となるか、診断でどれだけのインパクトがあるのかを計算予測する技術開発をしています。

―研究するきっかけは

 原子力の勉強をしたくて本学工学部に入学したのが、そもそものきっかけです。小学生のときにチェルノブイリ原子力発電所の事故があり、子ども心に安全な技術開発が必要だと思い原子力や放射線に漠然と興味を持ちました。

   また、読書がとても好きで、女性が何かに打ち込んだ姿を描いた伝記や物語の中に人生のロールモデルを探していました。このような経緯から、東北大の理念に憧れて本学工学部に入学し、放射線の医学利用に関する分野に引かれて現在に至っています。

―志田原講師にとって研究とは

 自身の興味、嗜好、知識などを生かし、課題解決に向けて自分なりに考え抜き、やり遂げる活動だと思います。個人的には、研究の過程で自分がどういう人間なのか気付けることが多く、そこに楽しさを感じます。実際、「あれ、自分って思った以上に粘りがあるんだな」とか「昔から〇〇な考え方がなぜか好きだよな~」と思うときがあります。

―学生時代は

 昔の話であるためだいぶ忘れてしまいましたが、研究面では、大学院生の時に大きく成長できたと思っています。博士課程前期に、開発された技術が医療現場でどのように応用されているのかが気になるようになりました。そこで、博士課程後期のうち2年半ほど、病院を併設している研究所で学外研修をさせていただきました。そこでさまざまな研究や研究者に触れ、とても刺激を受けました。本当に大変でしたが、その時の経験は今でも生かされています。

―高校生へ一言

 よく遊び、よく学び、さまざまな経験をしてご自身の感性を磨き、納得のいく進路・将来の選択につなげてください。その中でご縁があり、当専攻に興味をもっていただけたら幸いです。

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